甲斐歯科医院
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匿名 顎関節症
この対談は治療完了後、ご本人と当医院の歯科衛生士との対談の記録です。
Q:初めはどのような症状だったのですか?
A:痛みは無かったのですが、口を開ける時、左顎のちょうつがいのところが引っかかったような感じで、口を開けることができませんでした。
Q:いつ頃からですか?
A:今思うと、大きな声を出して叫んだ瞬間に左顎に異状(ひっかかった)を感じたのが最初でした。その後しばらくはどうもありませんでした。半年から一年位して、急に口が開かなくなりました。その時は食事ができなくなって、三日間飲み物だけで過ごしたのです。
Q:病院に行かれましたか?
A:近くの歯医者さんへは一年ほど通いましたが治らなかったので、また別の歯医者さんへ行ったらここを紹介されました。
Q:口が開くようになったのはいつ頃ですか?
A:通院して二か月経ってなかったと思います。こんなに早く開くのかなあと思ったのを覚えています。
Q:どんな治療でしたか?
A:歯並びの悪さが顎の動きを邪魔して、そのために顎の関節に無理がきて顎が動かなくなったというお話しでした。コンピュータで下顎のかみ合わせを測定してもらったり、筋電計で顎の周りの筋肉の状態を調べてもらったりしました。そして、顎の動きを邪魔している歯並びを矯正してもらいました。
Q:歯並びの矯正の方はどうでしたか?
A:最初針金のようなものを一本一本の歯にはめてもらいました。その日は、歯がしめつけられる感じで痛く、食事をとる気がしませんでした。でも翌日からは普通に食べることができました。ただ食べた後、物がつまりやすかったです。
Q:矯正すると食べ物がつまりやすい上に、歯磨きもむずかしいのですよね?歯磨き指導も何回か受けていますね?
A:はいでもめんどう臭くてなかなか言われたようにはできません。歯の汚れが赤く染め出される薬をもらいましたが一回使ったかな。
Q:今、歯磨きの時間はどの位ですか?
A:一分位かな、でも自分の口の中の汚れを顕微鏡で見た時は、細菌がウジャウジャして気持ち悪かったので、その日一日だけは随分長く磨きました。次の日からは忘れましたが(笑)
Q:ところで今年の七月二年間装着していた矯正装置をはずされましたね?
A:はずしてもらった時は、スッキリしました。そして鏡で見て、歯並びが随分変わってしまっているのでびっくりしました。以前は笑うと上の両方の犬歯がでっぱって見えましたが、もう唇にひっかからなくなりました。
Q:その後、顎の関節の方はどうですか?
A:口も良く開きますし、あくびも気にせずに出来ます。口が開かなかった頃は、下顎を手で押さえて、かみしめてあくびをしていましたから。食事も普通にしています。
注釈
一年くらい前からだんだん口が開けにくくなり、近所の歯科医院でずっと開口の筋肉トレーニングを続けたそうです。治らずに当医院に見えた時は、やっと2センチくらい口があきますが、それ以上開けると左の顎関節が痛くて開口不能でした。いわゆる私達が専門語でクローズドロックと言う症状です。其のため非常に食事がしにくく、ご飯を口の中に入れるのが大変だったようです。顎関節症は普通、素因があってその上に何かキッカケになる誘因があって症状がでてくる場合が多いようです。この方の場合は前歯部の歯ならびが異常だった為、長い間、正しい位置で物を咬むことが出来ず長期間に渡って顎の関節が無理な位置で開閉運動をしていた様です。これが素因ということになります。この様な変則的な日常の食生活を続けておられた為、顎関節の中の関節円板と下顎関節頭の関係にズレが生じていたところに(もちろん本人は無意識)急に大きく口を開けて叫んだ瞬間、左の関節に異状を感じたそうですが、急に口を大きく開けたことが直接の誘因ということになります。今お話ししたように、この方の場合は歯列の不正が素因ですが、一般的に言えば素因となるものは色々の場合があります。例えばかみ合わせの悪い入れ歯を長く辛抱して食生活を送った場合とか、時にはたった一本だけ咬みあわせの悪い充填物をしたりしても症状がでてくる場合があります。この方の場合は矯正装置を装着して少しづつ前歯の歯ならびを変えて、物を咬む時に顎が正常な位置で咬み合わせ出来るようにしてあげたところ、約二か月くらいで口が開くようになりました。そしてこの方の場合はその他の症状、例えば頭痛、肩こり、頚部の持続的な痛みなどが出なかったのは幸いでした。
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